こんちは!みのりです。
高齢者は関節や筋力だけでなく、いろいろな機能が低下してきます。在宅のリハビリではそのようなことも考慮する必要があります。
この記事では、高齢になることでどのような機能が低下していくのか、四肢の関節可動域や筋力、動作能力以外で考えてみようと思います。
Contents
高齢者は年齢によってどんな病気にかかり易いかわかる
出典:レジデント 2012/5 Vol5 No5
この図のように、高齢者の場合、年齢層によってどのような機能が低下し易いのか、どのような病気にかかり易いのかということが統計で分かっています。
後期高齢者になってくると介護や慢性疾患の比率が、著しく上がってきていますね。急性疾患関連はどの年齢層においても大きく変化ありません。
当り前のことですが、年をとればとるほど介護を必要とする状態になり易いのです。
加齢によって消化器機能は低下する
まず、加齢によって
・歯が減り、唾液の減少や咀嚼力の低下がおこる
・喉頭や咽頭反射の低下により誤嚥し易くなる
・腸の動きは低下し消化液の分泌が低下する
・排便反射の低下で便秘になり易くなる
・肝臓の細胞や血流が減少する為、アルコールや薬などの分解が遅くなる
私達療法士が特に気にするのは嚥下機能でしょうか。嚥下機能の状態はもちろん把握していないといけませんし、嚥下機能に合わせ食事の形態もアドバイスできないといけませんね。
また、便秘になり易いという特徴から、排便の状態も把握しないといけません。排便できないということで大きな病気へ繋がる可能性もありますし、腹痛で動けなくなるということもあります。
看護師に任せっぱなしにしてはなりません。在宅のリハビリでは特そうです。
加齢によって視覚は障害される
加齢によって、
・水晶体は変性する(白内障)
・眼房水が排出されず眼圧が上がり、視神経が圧迫される。その結果視野が欠け視力が低下する。失明に至ることも・・・(緑内障)
・黄斑の変性、萎縮、新生血管の出血によって急激に視力が低下する。
・網膜の毛細血管が狭くなり血流が悪い為新生血管ができる。
新生血管は脆いので眼底出血に繋がる。網膜剥離に発展することも・・・(糖尿病性網膜症)
白内障に関しては、ほとんどの人がなっているのではないでしょうか。2つ目の緑内障や4つ目の糖尿病性網膜症に関しては、運動が禁忌になることもあります。
加齢によって聴覚は障害される
加齢によって、
・内耳や神経の老化により高い音が聞こえ難くなる。(老人性難聴)
・突然片方の耳が聞こえにくくなる。耳鳴りやめまいを伴うこともある。(突発性難聴)
・耳石がはがれることにより回転を感じる。半規管の中に入り込んでリンパ液を掻き混ぜる為、頭の位置によってめまいが生じる。(良性発作性頭位めまい症)
・突然回転性のめまいを生じる。同時に難聴が生じ低音が聞え難くなり吐き気も生じる。
老人性難聴のことを考慮し、なるべく低い声で高齢者とコミュニケーションをとることも多いです。これも、療法士のテクニックの1つです。
加齢によって泌尿器機能が低下する
加齢によって
・腎臓の糸球体が壊れて減少することにより、尿を作る力が低下する。
・尿量が減少することにより、水分や電解質のバランスが崩れる。
・尿を濃縮する力が低下する為、薄い尿がたくさん作られる。
・1回の尿量は少なく、排尿回数が増える。
・女性では外尿道括約筋の筋力は低下し尿漏れが生じやすくなる。
加齢によって呼吸器機能が低下する
加齢によって
・肺胞の弾性が低下する。
・横隔膜や肋間筋の筋力が低下する。
・脊柱が変形することにより胸郭の動きが悪くなる。
・肺活量は低下する。
・残気量は低下する。
・異物の侵入に対する咳の反射や繊毛の働きが低下し肺炎が起きやすくなる。
私の経験上、高齢者で胸郭の動きが悪くなっている人は非常に多いです。胸郭の動きは必ずうようにしています。
加齢によって循環器の機能は低下する?
加齢によって
・赤血球とヘモグロビンは減少傾向。
・運動時の心臓の反応は弱くなる傾向がある。
・動脈硬化の為、狭心症や心筋梗塞のリスクが高まる。
・静脈の弁が壊れる。
心臓はそもそも、老化の影響を受けにくい臓器のようです。ただ、狭心症や心筋梗塞などの既往を持っている人はとても多いので、しっかりと既往歴を確認しておきましょう。
さいごに
内蔵の機能や循環器の状態を把握することは理学療法士の苦手な部分だと思います。
病院で働いていると、自動的に得られることができていた情報を、在宅では自分から取りにいかないと得られないということが多々あります。
この情報が何に必要なのかということがわかってないといけません。
加齢によって、どのような機能が低下するのということがわかっていたら、情報収集しなければならない項目も選定しやすいですね。