リハビリの話

パーキンソン病の「すくみ足」の原因は?

パーキンソン病の特徴的な症状としてすくみ足があります。

すくみ足歩行能力を著しく低下させ在宅での生活を困難にさせます。

バーキンソン病という疾患については不明な点も多く完治させることができません。また、パーキンソン病特有の症状がどのような機序でおこっているのかということもよくわかっていません。

その為、リハビリテーションで関わるときにすくみ足に対してのアプローチをどうするかということが課題になることが多いです。

というわけで今回はすくみ足とはどういうものなのかということについて書いてみました。

 

すくみ足とは

歩き始めや方向転換時、狭いところを通る際に一歩が出ないといった現象です。その他にも部屋から廊下に移動する(広い空間から狭い空間への移動)際やその逆の場合にもみられます。すくみ足がでる患者さんはよく「足が床に張り付いているような感じ」と表現されます。

歩こうとしているところで一歩がでないものですから、前傾姿勢となり前方へ転倒する危険性が高くなります。パーキンソン病の特徴上、転倒した際に素早く手を出すことが困難なことが多く、よく顔を打ってケガをされています。

またすくみ足には逆説型歩行がみとめられるということが知られています。これは、すくみ足で普通に歩くことができないのに階段はスムーズに昇り降りできたり、床に横断歩道のような線を引いてまたぐように指示するとすくみがでず歩けるというものです。

 

 

すくみ足の原因

不明です。確定的な病態生理はわかっていないんです。

黒質ー線条体のドーパミン系の障害で行っているのではないか?淡蒼球内節や黒質毛様体部が変性していることが原因ではないか?などいろいろいわれています。

有力なものとしては「脊髄での相反抑制機に対する中枢からの抑制に障害が生じる」また、「大脳基底核が障害されることによりリズムの形成障害がおこりすくみ足がおこる」というものがあります。

例えば、座位で膝を伸ばそうとすると膝を伸ばす筋肉の大腿四頭筋が収縮します。それと同時に膝を曲げる筋肉であるハムストリングスは弛緩します。大腿四頭筋とハムストリングスが同時に収縮して弛緩しても足は動かず膝は伸びないんです。そういった調整を普段私たちの体は勝手にしているのです。その調整が上手くできず歩こうとしたときに一歩が出ないということです。

 

また、大脳基底核は歩行に関しての中枢を制御する働きがあります。そして、大脳基底核には歩行のリズムや速度を調整する働きももっています。私たちが普段歩くとき、今から右下肢だして左腕を前に振ってっていちいち考えませんよね。そういったものを上手いことしてくれるところが障害を受けたら歩こうと思ったときいいタイミングで足が出ないでしょうということです。

 

すくみ足に対してのリハビリテーション

 

代表的なものとしては逆説型歩行に対してのアプローチです。

床にテープを引きそれを跨ぐように促すことですくみ足の軽減がみられます。ただ、このアプローチには問題があります。慣れてしまうということです。慣れてしまうと徐々に効果はなくなっていきます。また、線を引くというものなので導線が限られてしまいます。

最近ではQピットという腰のベルトにつけた機器からレーザーが出るのに加え、一定のリズムの音で歩行のきっかけを与える身体装着型移動支援機が開発させています。私はこれを一度体験してみたのですがなかなか実用的でよかったです。これがあれば、導線が限られることがなくなるので活動範囲を広げることができるでしょう。

 

リズムの形成障害へのアプローチとしては「1、2」と掛け声をかけるというのもがあります。左足を振り出すときに1。右足を振り出すときに2。とあらかじめ決めておき、声掛けに対して足を出します。これもなかなか効果的です。

このようにすくみ足へのアプローチは視覚や聴覚でサポートすることが重要になります。

私はQピットの開発者と何の関係もないですが、Qピットを使えば音を使って足を出すタイミングをサポートしてくれるのですくみ足を軽減できるのではないかと思います。

 

両下肢の協調障害によってすくみ足が生じている場合は、ペダリングがよく効く場合があります。歩行とペダリングは足の動かし方が似ているのでペダリングを持続的に行うことで安全に歩行に関与する機能を鍛えることができるわけです。

すくみ足がひどい方は、持続的にペダリングをするよう指示しても直ぐに足が止まってしまうケースはとても多いんです。

 

どちらにしても、動作訓練と環境設定がとても重要です。

 

さいごに

すくみ足については未だに分からないことだらけです。

すくみ足になる原因も一つではないと思います。いろんな要素が加わってすくみ足が起こっていると考えるのが自然でしょう。

その人に合った訓練方法や環境設定をいろいろ探し出して試してみるということが重要です。

また、その時に効果があっても持続性に乏しいものが多いにで常に定期的に評価する必要がありますね。

 

 

 

 

 

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