仕事をしていると、「これ、上司に報告した方がいいのかな?」と迷うことがあります。

明らかな事故や大きなクレームなら迷いません。問題は、報告するほどでもない気がするけど、ちょっと気になる出来事です。

私もこれまで何度も経験してきました。そして長く働いて、今では自分が管理する側になりましたが、考えは昔からほとんど変わっていません。

報告するかどうか迷ったら、報告した方がいい。

なぜなら、「まあ、これくらいならいいか」と報告しなかったことに限って、後から面倒なことになるからです。

報告すべきことと、しなくていいことを見分けるのは難しい

私は昔から、比較的なんでも上司に報告するタイプでした。学生の頃も、実習先ではしょうもないことまでバイザーに報告していました。理由は単純で、臆病だからです。

就職してからも報連相はかなり意識していました。ところが、ある病院で主任になった頃、上司からこんなことを言われました。

「そんなレベルのことをいちいち報告してくるな。報告すべきことを判断できるようになりなさい」

これは困りました。報告すべきことかどうかなんて、その時点では分からないことも多いからです。

一見すると大したことがない。でも数日後に利用者さんや家族からクレームが入るかもしれない。職員同士のちょっとした揉め事だと思っていたら、後になって退職の話まで発展するかもしれない。

医療や介護の仕事をしていると、そんなことはいくらでもあります。結果を知ってからなら、「あの時点で報告するべきだった」と言えます。でも、その瞬間に重要性を正確に判断するのは意外と難しいものです。

だから私は今でも、迷った時点で一度報告するという考え方でいいと思っています。

管理職になって、報告してほしい側になった

昔この記事を書いた頃と今で大きく違うのは、私自身が報告を受ける側になったことです。

管理する立場になると、現場からいろいろな報告が上がってきます。もちろん中には、「それは別に報告しなくても大丈夫やで」と思うこともあります。

でも、それでいいんです。

大した問題でなければ、管理者が「分かりました。それならその対応で大丈夫です」と言えば終わりです。逆の方が困ります。

管理者が何も知らない状態で数日経ってから問題が大きくなり、そこで初めて「実はその前に、こんなことがありまして……」と言われる。

管理する側からすると、

「それ、先に言ってくれよ」

となります。

早い段階なら簡単に対応できたことが、時間が経ったことで話がこじれてしまう場合もあります。だから今は、昔以上に「迷ったら報告した方がいい」と思うようになりました。

報告するのは、自分を守るためでもある

昔のこの記事では、私はかなり乱暴に、

「上司に報告して、責任をなすりつけてやりましょう」

と書いていました。

今読むとなかなかの言い方ですが、言いたかったこと自体は今もそれほど変わっていません。

上司に報告するということは、問題を個人で抱えず、組織の問題として共有することでもあります。

例えば何か問題が起こったとします。そこで上司に「こういうことがありました。私はこう対応しようと思いますが、どうでしょうか」と報告し、上司から「それでいきましょう」と指示を受けた。

そこから先は、少なくとも自分一人だけで判断して進めた案件ではありません。ところが、何も報告せずに自分だけで判断して対応してしまうと、問題が大きくなったときに「なぜ相談しなかったの?」という話になります。

だから報告は、上司のためだけにするものではありません。

自分を守るためにも報告する。

これは働くうえで覚えておいて損はないと思います。

怒られるのが怖くて報告しないのが一番危ない

報告が遅れる理由の一つに、「怒られたくない」があります。失敗した。ミスをした。相手を怒らせてしまった。そんなとき、「これを言ったら怒られるだろうな」と考えてしまう気持ちは分かります。

でも、そこで黙ってしまうと状況はもっと悪くなります。ミスそのものより、

「なぜすぐ報告しなかったのか」

の方が問題になることもあります。

これは管理する側になって、本当によく分かるようになりました。失敗は誰にでもあります。私自身もたくさん失敗してきました。

管理者としても、職員がミスをしたことだけで、その人を信用できないとは思いません。むしろ怖いのは、問題が起きたときに報告してくれない人です。

何かあっても情報が上がってこないとなると、管理者はその人に安心して仕事を任せられなくなります。逆に、「すみません、こういうことがありました」と早い段階で報告してくれる人の方が対応できます。

報告すると怒られるから黙る。これは短期的には自分を守っているように感じますが、長い目で見ると逆だと思います。

「報告だけする人」にもならない方がいい

ただし、何でもかんでも上司に投げればいいという話でもありません。ここは昔より強く思うようになりました。

管理職になって分かったのですが、「こんなことがありました」だけで終わる報告が続くと、管理者側も困ります。

できれば、

「こういうことがありました。私はこう対応しようと思っていますが、どうでしょうか」

まで持ってきてほしい。

もちろん新人職員なら、「どうすればいいですか?」で構いません。でも経験を積んできた職員なら、自分なりの考えを一つ持ったうえで報告できる方がいいと思います。

報告と丸投げは違います。

私は管理する側になってから、ここはかなり意識するようになりました。

微妙なことは「雑談風」に耳へ入れておく

では、「正式に報告するほどではない。でも、ちょっと気になる」という場合はどうするのか。

これは昔からやっている方法ですが、今でも使います。

雑談風に上司の耳へ入れておく。

例えば、「そういえば今日、○○さんからこんな話があったんですよ。今のところ問題なさそうなんですけど、一応耳に入れておこうと思って」くらいです。

これなら大げさな報告にはなりません。それでも上司は、その出来事があったことを知っています。後から何も起こらなければ、それで終わりです。

もし問題が大きくなれば、「ああ、この前言ってた件か」と話がつながります。私はこの**「一応、耳に入れておきます」**という報告を結構大事にしています。

ただし、事故、重大なミス、クレーム、利用者さんの安全に関わることなど、本来きちんと報告すべき内容を雑談で済ませてはいけません。あくまで、正式な報告が必要かどうか迷う程度の出来事に使う方法です。

上司も「報告しやすい環境」を作らないといけない

ここは、昔の記事にはなかった視点です。

部下に「ちゃんと報告しろ」と言うだけではダメだと思っています。報告を受ける側にも責任があります。

職員が何か報告するたびに、「そんなこといちいち言ってくるな」「それくらい自分で考えろ」と返していたら、当然その職員は報告しなくなります。

そして、本当に重要なことまで上がってこなくなる。

管理者として、それはかなり怖い状態です。

もちろん、職員にも「これは報告が必要」「これは自分で判断していい」という能力は身につけてもらわなければなりません。でも、それは報告を止めさせることで身につくものではないと思っています。

報告してきた内容に対して、「今回は報告してくれていい。でも次からこの程度なら自分で判断して大丈夫」と伝えればいい。そうやって少しずつ判断できる範囲を広げていけばいいと思います。

結局、迷ったら報告しとけ

昔の記事を書いてからかなり時間が経ち、私は報告する側だけでなく、報告を受ける側にもなりました。

それでも結論は変わりません。

上司に報告するかどうか迷ったら、報告しとけ。

報告して、「それくらい自分で判断して」と言われることはあるかもしれません。でも、それで終わりです。一方で、報告しなかったことが大きなトラブルに発展した場合は、簡単には終わりません。

だから迷ったら報告する。ただし、経験を積んできたら「どうしましょう?」だけではなく、自分の考えも一緒に伝える。正式に報告するほどでもない微妙な出来事なら、「一応、耳に入れておきます」と共有しておく。

そして管理する側は、職員が報告しやすい環境を作る。

結局、報連相というのは難しい技術ではなく、問題を一人で抱え込まないための仕組みなんだと思います。

私はこれまで、報告したことで大問題になった経験より、「あのとき報告しておけばよかった」と思った経験の方が圧倒的に多いです。

だから今でも迷ったら報告します。

「こんなことまで言わんでいい」と言われたら、そのときはそのときです。その方が、後から大変なことになるよりずっとマシです。