理学療法士の面接で採用担当者はどこを見る?年間50人以上面接する側の本音
理学療法士の転職について調べると、
「面接では笑顔を心がけましょう」
「志望動機をしっかり準備しましょう」
「自己PRでは自分の強みを伝えましょう」
といった情報がたくさん出てきます。
もちろん、どれも間違いではありません。
ただ、実際に採用する側からすると、もう少し違うところを見ています。
私は理学療法士として働きながら、現在は採用にも携わっており、年間20人以上の面接をすることがあります。
理学療法士だけでなく、看護師や介護職、送迎ドライバーなど、さまざまな職種の面接をしてきました。
その経験から言うと、
「理学療法士として技術が高そうだから採用したい」
と思うことは、それほど多くありません。
それよりも、
「この人と一緒に働けるか?」
を見ています。
今回は少し踏み込んで、採用する側が面接で実際にどこを見ているのかを書いてみたいと思います。
面接は、会った瞬間から始まっている
私がまず見るのは、特別なことではありません。
服装と挨拶です。
「そんなところ?」
と思うかもしれません。
でも、かなり見ています。
なぜなら、服装や最初の挨拶を見るだけでも、その人の接遇に対する意識がある程度わかるからです。
高級なスーツを着てくる必要なんてありません。
完璧なビジネスマナーも求めていません。
ただ、転職の面接という大事な場面で、
「今日はよろしくお願いします」
ときちんと挨拶できるか。
相手に失礼のない服装を選べるか。
これは、その人が利用者や家族にどう接するのかを想像する一つの材料になります。
医療・介護の仕事は、人と接する仕事です。
理学療法士なら、患者や利用者だけでなく、家族、医師、看護師、介護職、ケアマネジャーなど多くの人と関わります。
だから私は、接遇も立派な仕事の能力の一つだと思っています。
理学療法士の「技術」はそれほど重視していない
これは少し反論があるかもしれません。
私は採用面接で、理学療法士としての技術をそこまで重視していません。
もちろん、技術や知識は大切です。
勉強することを否定するつもりもありません。
ただ採用する側からすると、
「○○療法ができます」
「この手技について勉強しています」
「○○の認定資格を持っています」
ということだけで、「ぜひ採用したい」とはなりません。
極端な言い方をすれば、技術へのこだわりだけが強くなってしまうと、それは自己満足になってしまうこともあると思っています。
現場は理学療法士だけで回っているわけではないからです。
いくらリハビリの知識が豊富でも、看護師や介護職とうまくコミュニケーションが取れない。
自分の考えを曲げられない。
他職種からの意見を聞けない。
利用者の状況が変わっても柔軟に対応できない。
それでは、組織としては仕事がしにくくなります。
私は、
「技術がすごい理学療法士」より、「周囲とうまく仕事ができる理学療法士」
の方を採用したいと思っています。
技術は入職してからでも学べます。
しかし、人の話を聞く姿勢や、周囲に合わせて仕事をする柔軟性は、なかなか簡単には変わりません。
「変なこだわりがないか」は結構見ている
面接では人柄とともに、こだわりが強すぎないかも見ています。
これは「自分の意見を持つな」という意味ではありません。
自分の考えを持つことは大切です。
ただ、
「私はこの方法でしかやりません」
「前の職場ではこうしていました」
「自分はこういうリハビリがしたいんです」
という考えがあまりにも強いと、ある程度の規模の組織では働きにくくなることがあります。
会社には会社のルールがあります。
部署にも方針があります。
そして何より、自分とは違う考えを持った職員と一緒に働かなければなりません。
自分の考えを持ちながらも、必要なところでは周囲に合わせられる。
私はこのバランスをかなり重視しています。
転職回数より「なぜ辞めたのか」を見る
「転職回数が多いと不利ですか?」
と気にする人は多いと思います。
私は、単純な転職回数だけでは判断しません。
それよりも、勤続年数と退職理由を見ます。
例えば何度か転職していても、それぞれ数年間勤務していて、キャリアアップなど納得できる理由があれば、それほど気になりません。
逆に、
半年で退職。
次も1年で退職。
その次も1年程度で退職。
という短期離職を繰り返している場合は気になります。
当然、
「うちに入っても同じことにならないか?」
と考えるからです。
だから面接では、なぜ退職したのかを聞きます。
「職場の雰囲気が合わなかった」は意外と気になる
退職理由として、
「職場の雰囲気が自分には合いませんでした」
と言われることがあります。
一度だけなら、それほど気にしません。
実際に合わない職場はあります。
問題は、それが何度も続いている場合です。
前の職場も人間関係。
その前も雰囲気が合わない。
さらにその前も上司と合わない。
こうなってくると、採用する側としては、
「もしかすると職場だけの問題ではないのでは?」
と考えます。
少し厳しい言い方ですが、どの職場にも自分と合わない人はいます。
自分の思い通りにならないこともあります。
そのたびに転職しているのであれば、次の職場でも同じことが起こる可能性があります。
転職理由は、前の会社を評価する時間ではありません。
自分がその経験から何を考えて、次に何を求めているのかを伝える方が大切だと思います。
前職の悪口はかなりマイナス
これは個人的にはかなり気になります。
面接で前職の悪口を言う人です。
「上司が最悪でした」
「会社が何も考えていませんでした」
「他のスタッフのレベルが低かったです」
実際、本当にそうだったのかもしれません。
ただ、面接する側としては事実確認ができません。
そして、
「うちを辞めるときにも同じように言うのでは?」
と思ってしまいます。
不満があって転職すること自体は全くおかしくありません。
むしろ転職する以上、何らかの不満や変えたいことがある人の方が多いでしょう。
でも、それをそのまま悪口として話すのか、冷静に整理して説明できるのか。
ここには結構、人柄が出ると思っています。
質問を最後まで聞けない人も気になる
面接で意外と気になるのが、こちらの質問に回答をかぶせてくる人です。
こちらがまだ質問している途中なのに、
「はい、それはですね……」
と話し始めてしまう。
一度くらいなら気にしません。
緊張していることもあります。
ただ、それが何度も続くと、
「この人、人の話を最後まで聞かないのかな?」
と思ってしまいます。
医療・介護の現場では、人の話を聞くことは非常に重要です。
患者や利用者の話。
家族の話。
他職種からの申し送り。
上司からの指示。
面接で質問を最後まで聞くという小さな行動も、私はその人のコミュニケーションを見る材料の一つにしています。
履歴書くらいは、ちゃんと作ってほしい
履歴書もかなり見ます。
ここも少し厳しい話になりますが、履歴書をきちんと作れていない人は気になります。
誤字脱字が多い。
記載漏れがある。
職歴がよく分からない。
空白期間について何も説明がない。
そして意外とあるのが、
証明写真のサイズが履歴書と合っていない。
少しくらいのズレで不採用にするわけではありません。
でも、私は引っ掛かります。
履歴書の写真サイズは、少し確認すれば分かることです。
それすら確認せずに提出してしまうのであれば、
仕事でも「これくらいでいいか」と確認せず進めてしまう人なのかな
と考えてしまうことがあります。
履歴書は、自分を採用してもらうために提出する書類です。
人生を左右するかもしれない転職活動で提出する書類だからこそ、最低限きちんと確認してほしいと思っています。
経歴が良ければ採用されるわけではない
以前、デイサービスの送迎ドライバーを募集したときのことです。
応募してきた方は介護経験が豊富で、二種免許も持っていました。
書類だけを見ると、
「かなり良さそうな人だな」
という印象でした。
ところが実際に会ってみると、面接には私服で来られ、会話の中でも時々ため口になることがありました。
接遇という面では少し気になりました。
また送迎ドライバーという仕事の性質上、利用者を乗せて安全に送迎業務を遂行できるかという点についても確認する必要がありました。
最終的には採用には至りませんでした。
するとその後、
「なぜ自分が不採用なのか」
という問い合わせが何度もあり、対応に苦慮しました。
おそらく本人としては、介護経験もあり二種免許も持っているため、経歴的には十分だという自信があったのだと思います。
しかし、この経験は採用する側として非常に印象に残っています。
資格や経歴がどれだけ立派でも、それだけで採用が決まるわけではありません。
むしろ、「自分はこれだけ経験がある」「これだけ資格がある」という自信が強すぎて、周囲の意見を受け入れられないのであれば、組織では働きにくくなる可能性があります。
採用する側が見ているのは履歴書だけではありません。
実際にこの人と一緒に働けるか。
最終的には、そこを見ています。
「何か質問はありますか?」では何を聞けばいい?
面接の最後に、
「何か質問はありますか?」
と聞かれることがあると思います。
ネットを見ると、
「この質問をすると好印象!」
という面接テクニックもあります。
ただ、少なくとも私は質問内容だけで評価することはありません。
聞きたいことを普通に聞いてもらえればいいと思っています。
仕事内容でもいい。
休みでもいい。
教育体制でもいい。
1日の流れでもいい。
むしろ何も質問がないと、
「あまりうちの職場に興味がなかったのかな?」
と思うことはあります。
無理に意識の高そうな質問を考える必要はありません。
本当に自分が知りたいことを聞けば十分です。
面接は「優秀さを競う場所」ではない
理学療法士の転職面接というと、
「自分の強みをアピールしなければ」
「専門性を伝えなければ」
「他の応募者より優秀だと思ってもらわなければ」
と考えてしまうかもしれません。
でも、採用する側からすると、それだけを見ているわけではありません。
少なくとも私は、
ものすごい理学療法士を探しているわけではありません。
挨拶ができる。
人の話を聞ける。
他職種とコミュニケーションが取れる。
自分と違う考えも受け入れられる。
必要なときには周囲に合わせられる。
そして、きちんと仕事をしてくれる。
そういう人と一緒に働きたいと思っています。
理学療法士としての知識や技術を磨くことは大切です。
ただ、組織で働く以上、専門性だけで仕事ができるわけではありません。
まとめ|結局、採用担当者が見ているのは「一緒に働ける人か」
年間20人以上の面接をする中で、私が重視しているのは、華やかな経歴や資格ではありません。
服装や挨拶。
履歴書をきちんと準備できているか。
質問を最後まで聞けるか。
前職についてどのように話すか。
自分と違う考えを受け入れられるか。
周囲とうまくコミュニケーションが取れそうか。
一つ一つは、とても普通のことです。
でも、実際に面接をしていると、この「普通のこと」がきちんとできている人ばかりではありません。
採用する側は、
「この人は優秀なのか?」だけではなく、「この人と毎日一緒に働けるのか?」
を考えています。
面接で自分を必要以上によく見せる必要はないと思います。
難しい専門用語を並べる必要もありません。
きちんと挨拶をして、人の話を最後まで聞いて、自分の考えを自分の言葉で伝える。
結局のところ、そういう当たり前の部分が採用ではかなり重要なのだと、私は思っています。
