デイサービスの運営において、安定した経営を続けるためには、新規利用者を継続的に獲得することが欠かせません。しかし、「営業に行っているのに紹介が増えない」「ケアマネジャーとの関係づくりが難しい」と悩んでいる事業所も多いのではないでしょうか。

デイサービスの営業というと、自事業所のサービスを積極的に売り込むことをイメージする方もいるかもしれません。しかし、実際には単にパンフレットを配ったり、「利用者様を紹介してください」とお願いしたりするだけでは、なかなか成果にはつながりません。

デイサービスの営業で本当に大切なのは、地域のケアマネジャーや医療機関から、「この利用者様なら、あのデイサービスに相談してみよう」と思ってもらえる関係をつくることです。

今回は、デイサービスの新規利用者を増やすために、現場で実践できる営業方法を5つのポイントに分けてご紹介します。

1.ケアマネジャーとの信頼関係を最優先にする

デイサービスの利用者紹介は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーから受けることが多くあります。そのため、新規利用者を増やすうえで最も重要なのは、ケアマネジャーとの信頼関係を築くことです。

営業に行く際、自事業所のパンフレットを渡すだけでは十分ではありません。パンフレットには基本的なサービス内容は記載されていますが、ケアマネジャーが本当に知りたいのは、現在の具体的な受け入れ状況です。

例えば、次のような情報を簡潔に伝えるとよいでしょう。

  • 曜日ごとの空き状況
  • 入浴利用の受け入れ状況
  • 個別リハビリの対応内容
  • 医療的ケアが必要な方への対応
  • 認知症のある方の受け入れ状況
  • 送迎可能エリア
  • 最近始めた取り組み

「現在、水曜日と金曜日に空きがあります」「看護師が配置されているため、このような医療処置には対応できます」など、具体的に伝えることで、ケアマネジャーも利用者を紹介しやすくなります。

また、「何か利用者様をご紹介ください」とお願いするだけでは、相手の印象に残りにくいものです。

それよりも、「入浴先が見つからず困っている方はいませんか」「退院後もリハビリを続けたい方がいればご相談ください」など、自事業所が対応できるケースを具体的に伝える方が効果的です。

営業では、一方的に話すのではなく、ケアマネジャーがどのようなケースで困っているのかを聞くことも大切です。困ったときに相談できる事業所になることが、継続的な紹介につながります。

2.利用者の情報を迅速にフィードバックする

ケアマネジャーから利用者を紹介してもらった後の対応も、重要な営業活動の一つです。

利用開始後に何も連絡がない事業所よりも、利用者の様子を細かく報告してくれる事業所の方が、ケアマネジャーは安心して次の利用者も紹介できます。

例えば、次のような内容を報告します。

  • 初回利用時の表情や様子
  • 他の利用者との関わり
  • リハビリへの参加状況
  • 歩行や立ち上がり動作の変化
  • 入浴や食事の状況
  • 利用中に見られた体調の変化
  • 今後取り組むべき課題

報告は長文である必要はありません。大きな変化があった場合だけでなく、小さな変化でもこまめに伝えることが重要です。

私の場合は、利用者に変化があるたびに、できる限り細かく電話で報告するようにしています。

特に、要支援の利用者や、サービスを問題なく継続できている利用者の場合、ケアマネジャーが自宅を訪問する頻度が少なくなることがあります。そのため、ケアマネジャー自身が利用者の普段の様子を把握しにくくなっている場合があります。

そのようなときに、デイサービスから「最近歩行が不安定になっています」「食事量が減っています」「以前より会話が増えています」などの情報を伝えると、利用者の状態を把握するうえで大変役立ちます。

こうした丁寧な情報共有を続けることで、「この事業所に紹介すれば、しっかり様子を見てもらえる」という信頼につながります。

3.自事業所の強みを明確にする

「どのような利用者様でも対応できます」という説明だけでは、他のデイサービスとの差別化はできません。

ケアマネジャーは、利用者本人や家族の希望、身体状況、認知機能、医療面などを考慮しながら、利用先を探しています。そのため、「自事業所がどのような利用者に向いているのか」を明確に伝えることが重要です。

例えば、次のような内容は事業所の強みになります。

  • 理学療法士や作業療法士による個別リハビリ
  • 認知症ケアに力を入れている
  • 看護師が常駐している
  • 医療依存度が高い方にも対応できる
  • 入浴設備や入浴介助が充実している
  • 少人数で落ち着いて過ごせる
  • 長時間利用や短時間利用に対応できる
  • 食事やレクリエーションに力を入れている

特に、専門職によるリハビリや入浴介助に対するニーズは高いため、対応できる場合は大きな強みになります。

ただし、単に「リハビリをしています」と伝えるだけでは十分ではありません。

「理学療法士が歩行状態を確認し、一人ひとりに合わせた運動を実施しています」「自宅での生活動作を意識した訓練を行っています」など、実際にどのような支援を行っているのかを説明することで、より伝わりやすくなります。

4.営業は継続することが大切

営業は一度訪問しただけで成果が出るものではありません。

営業先を訪問しても、すぐに紹介につながらないことは珍しくありません。訪問した時点では、ケアマネジャーが新しいデイサービスを探しているケースを抱えていない場合もあります。

大切なのは、紹介がなかったからといって営業をやめるのではなく、継続して情報を届けることです。

定期的な訪問では、次のような内容を伝えるとよいでしょう。

  • 季節のイベント情報
  • 最新の空き状況
  • 新しいサービスや取り組み
  • 新しく入職した専門職の紹介
  • 職員体制の変更
  • 利用者の改善事例
  • 受け入れ可能な利用者像

月に1回程度でも継続して訪問することで、「いつも情報を届けてくれる事業所」という印象が残ります。

ケアマネジャーが利用先を探す必要が出たときに、最初に思い出してもらえるかどうかが重要です。営業はすぐに結果を求めるのではなく、半年、一年という長い視点で取り組む必要があります。

5.利用者・家族の満足度が最大の営業になる

最も効果的な営業は、現在利用している利用者や家族に満足してもらうことです。

どれだけ営業活動に力を入れても、実際のサービス内容が不十分であれば、継続的な紹介にはつながりません。

一方で、「デイサービスに通うようになって元気になった」「歩ける距離が伸びた」「職員が親切で安心できる」「毎週通うことを楽しみにしている」といった声が増えれば、その評価は担当ケアマネジャーにも伝わります。

ケアマネジャーとしても、自分が紹介したデイサービスに利用者や家族が満足していれば、次のケースでも紹介しやすくなります。

さらに、利用者本人から近所の方や知人にデイサービスを紹介してもらえることもあります。「私が通っているところは良いよ」と口コミが広がり、近所の方から利用相談が入るようになれば、非常に強い状態です。

ここまでくると、事業所から積極的に売り込まなくても、新規利用の相談が自然に増えていきます。

営業活動だけでなく、日々のサービスの質を高めることが、結果として最も強い営業になります。

まとめ

デイサービスの営業で大切なのは、パンフレットを配ることや、一方的に利用者の紹介をお願いすることではありません。

地域のケアマネジャーや医療機関、利用者、家族から信頼される事業所になることが重要です。

そのためには、ケアマネジャーとの関係づくりを大切にし、紹介後も利用者の状況を丁寧に報告する必要があります。また、自事業所の強みや、どのような利用者に向いているのかを明確に伝えることも欠かせません。

営業は一度で成果が出るものではありません。定期的な訪問と情報提供を続け、困ったときに思い出してもらえる事業所を目指しましょう。

そして何より、利用者一人ひとりに質の高いサービスを提供し、本人や家族に満足してもらうことが、最も大きな営業効果を生み出します。

営業活動と日々のサービスを地道に積み重ねることで、「困ったらまず相談したいデイサービス」として地域に認知され、新規利用者の安定した獲得につながっていくでしょう。