訪問看護の話

訪問看護における令和3年の介護保険改正について

こんにちは!みのりです。

来年は介護保険の改正の年です。ここ数年、訪問看護のリハビリにおいてマイナス改定が多かったように思いますが、来年はどうなるのでしょうか?

令和2年9月4日に、第184回社会保障審議会介護給付費分科会が行われており、そこで訪問看護についても話がされています。

今回の記事では、その内容を踏まえ今後の訪問看護はどうなっていくのかというところを書いていきます。

退院当日の介入が介護保険でもできるようになる?

第184回社会保障審議会介護給付費分科会では退院日当日の訪問の取り扱いについて、こんな意見がでています。

〇退院当日の訪問において、特別訪問看護指示書によって、医療保険の訪問看護が可能となっているが、急な病変への対応や退院準備が十分でない段階で退院日を迎えてしなう単身高齢者などの療養環境を整える為、介護保険で対応できる者の範囲を拡大し、退院日当日の算定を可能に指定はどうか。

〇医療保険か介護保険に関わらず、退院当日の訪問看護に対して、適切に対応できるようにするべきではないか。

出典:第184回社会保障審議会介護給付費分科会資料

確かに、医療では退院日当日の介入ができるのに、介護保険ではできないというのは不自然ですよね。

私の経験上でも、退院当日に介入してもらえないかという依頼は度々あります。内容的には在宅での動作の評価や住環境整備をしてほしいというものです。

もちろん、退院前に入院していた病院のリハスタッフが環境調整を行っていますが、それが在宅に戻ってできるのかという不安がある利用者さんも少なくありません。

実際、適切な環境調整がされずに在宅に戻っている患者さんはたくさんいます。

訪問看護で介護保険受給者の退院当日の対応ができるようになれば、その辺の利用者の不安が解消できますね。

看護体制強化加算の算定要件が甘くなる?

看護体制強化加算にも触れています。

〇特別管理加算やターミナルケア加算等の加算の算定状況が算定要件とされているが、利用者の死亡や医療保険の訪問看護の利用、状態の改善などにより、算定できない場合もあるため、ターミナルケアの件数を医療保険分も合算できるようにすることや特別管理加算の算定者割合を引き下げるなどの要件緩和を行ってはどうか。

〇算定要件として、利用者総数の3割以上が特別管理加算を算定しているとこという要件があるが、現状を反映しているかなど実態を踏まえた緩和を検討するべきではないか。

出典:第184回社会保障審議会介護給付費分科会資料

看護体制強化加算をとるにはいくつか条件があります。

詳しくは訪問看護における平成30年度の介護報酬の改定に書いていますが、今回触れられているのは、特別管理加算の算定者割合やターミナルケアの件数です。

特にターミナルケアの件数に関しては、介護保険の利用者でカウントするのはなかなか酷な話だと思います。

ターミナルケアの対象となり易い、癌末期は医療保険での介入になりますからね。

この辺の数の緩和は是非お願いしたいところです。

多すぎるリハビリ専門職による訪問は問題視されている!

以前から言われていることではあります。診療報酬(医療保険)の改定の時も問題になっていました。

〇理学療法士等の訪問が多い事業所は、見取りの実績が少ない、軽度者の割合が高いという結果もあるため、サービスの提供実態を踏まえて、看護職とそれ以外の職員の比率を人員基準の中に追加するなどの対応を検討する必要があるのではないか。

〇医療ニーズを有する高齢者の更なる増加が見込まれる中で、理学療法士等による訪問割合が増加する傾向が続くと、訪問看護の役割を十分に果たせるか懸念があるため、詳細な分析を進め、必要に応じて、看護職員の割合や看護職員による訪問割合に応じ、メリハリのある報酬体系にするといった対応も考えてはどうか。

〇リハビリ専門職による訪問看護に特化した訪問看護ステーションの増加は問題であり、看護職員の割合の設定を求めるべきではないか。

〇訪問看護事業所のリハビリ専門職が行うサービスは、看護の視点で提供するサービスという位置づけであり、実態が訪問リハビリテーションと同じようなサービスであれば、訪問リハビリテーションとして提供するべきではないか。

出典:第184回社会保障審議会介護給付費分科会資料

リハスタッフが多い訪問看護ステーションはピンチですね。

看護師の人数がリハビリスタッフより少ない場合に減算になるのか、人員基準に看護師の割合を定められてしまうのか、まだ決まってはいませんが、何かしらの対策はされそうですね。

リハビリについて4項目も意見が出ているのですから、スルーということはないでしょう。

人材確保についても触れている。

その他、訪問看護のところでは人材確保のことにも触れています。

質の高いサービスを安定的に提供するためには、人材確保に向けた仕組みの構築が不可欠ではないか。

出典:第184回社会保障審議会介護給付費分科会資料

その通りです。

リハビリ特化型の訪問看護ステーションがある背景には看護師を募集しても、入職希望者が集まらないということがあります。

まだまだ、「看護師は病院で働くもの」という考えをもった人が多いでしょう。

訪問看護は24時間縛られるというイメージもあるでしょう。

よほど、在宅での看護に興味のある方でないと就職しようと思わないんじゃないでしょうか。

看護師にとって訪問看護ステーションに就職するメリットが増えないと、人員は増えません。

最後に

次の令和3年の介護保険の改正では、訪問看護なのにセラピストの介入が多いというところにスポットが当たりそうです。

今までも、このことは度々議題にあがっていましたが、今回は本気で規制をかけてくるんじゃないかと私は思います。

地域包括ケアシステムの基盤を作っていく為に、訪問看護に求められるのは、重症の人を受け入れることです。

重症の人を受け入れるには、看護師の人員補充は必須ですし、リハスタッフはたくさんいらない。

今まで、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士にとって、訪問看護は稼げる就職先でしたが、今後はそうじゃなくなるのかもしれませんね。

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