リスク管理

療法士の新人さん、学生さん向け「リハビリテーションにおけるリスクマネジメントについて」

こんにちは!みのりです。

 

療法士の新人さん、学生さんはリハビリテーションに対してのリスク管理をどう考えておられるでしょうか?

 

学生の頃の私は、こう聞かれて、

アンダーソンの基準を参考にしたバイタルチェック

・動作訓練時に転倒させないような介助方法、環境設定

・骨折部位や術式によって、骨折部へのストレスをかけないようにする

 (禁忌となる運動方向の確認とか荷重制限とか)

こんなことくらいしか思いつかなかったでしょう。

 

ということで、今更ながらリハビリテーション(私の場合は理学療法)におけるリスクマネージメントについて書いていこうと思います。

 

痛みについてのリスク管理

基本的には療法士がリハビリを行う際に、侵襲的な痛みを起こさないようにしなければなりません。

 

ストレッチ時の筋の鈍痛など、やむをえず痛みを患者さんに与えてしまう場合は、事前に説明し同意を求めた方がよいでしょう。

何も説明せず、痛みをどんどん患者さんに与えていたら、必ず患者さんからの信頼はなくなります。

 

筋や腱の障害、付着部を含んだ骨折では、自動運動自体が侵襲的な刺激となる可能性があります。

靭帯の損傷では張力の働く肢位や運動が痛みの原因となります。

こういった痛みは、運動の際に出現します。

 

そういった時、患者さんに今どういう痛みが出ているのか、痛みの原因としてどういったことが考えられるのかということを患者さんにしっかりと伝えると、逆に患者さんの信頼を得ることができるでしょう。

運動負荷に対する呼吸循環応答についてのリスク管理

まず、第一に自覚症状やバイタルを気にするべきでしょう。

 

自覚症状は具体的に、めまいやふらつきはあるのか、進行性に増強する胸部痛や胸部不快感などの狭心症状があるのか、呼吸困難や強い息切れはあるのか、高度の疲労感はあるのかなどです。

 

心拍数や血圧、酸素飽和度なんかは基準値を参考にするだけでなく、普段からの変動を気にします。

 

他覚的症状なんかも重要です。
顔面蒼白、チアノーゼ、冷汗、不安定な歩行、質問に対する応答の乱れの有無を確認します。

 

心機能についてのリスク管理については

訪問看護のリハビリではリスク管理をどう考える?特に心臓の機能はどう見る?

に書いてあります。興味のあるかたはどうぞ。

 

禁忌や薬の副作用など疾患・治療特有のリスク管理

みなさん人工関節術後の禁忌肢位や静脈血栓、骨癒合のための安静などは気をつけているでしょう。

これは療法士として基盤の部分ですからね。

医療的なリスクを考慮した中で、できるだけ最大の負荷で運動をおこなえるのが療法士の専門分野です。

 

また、投薬中の副作用なんかも配慮しないといけませんね。特に眠剤なんかは昨日の晩に飲んだものが翌日に影響することも少なくありません。薬の種類だけでなく、量の増減も把握しましょう。

転倒に関してのリスク管理

転倒の要因として内的要因と外的要因があります。

内的要因は薬物、身体機能、認知機能、精神機能などです。

外的要因は物的環境などです。

 

これらをしっかりとコーディネートすることで転倒を予防することができるのですが、予想外のアクシデントというももちろんあります。

 

療法士は常に患者さんを観察し、リスクの高い患者さんについては運動前に十分に状態把握をして転倒を防ぐことが重要です。転倒経験のある人は、当り前ですが転倒するリスクが高いので、安定してそうでも十分注意しましょう。

 

転倒に関してはこんな記事を書いています。

理学療法士が歩行訓練中に利用者さんを転倒させてしまうアクシデントについて

高齢者の転倒予防についての理学療法士による評価項目

高齢者の転倒予防に対してのリハビリ内容

 

感染に対してのリスク管理

感染症に留意し、痰、咳、処置された管、嘔吐物、血液、皮膚との接触は注意します。

患者さんの情報がリハビリに届いていないということもありますので、普段から看護師さんとしっかりとコミュニケーションをとりましょう。

 

病院などでは病棟とリハビリの関係が悪いところとかは情報が来るのが遅かったりします。

この関係が悪いというのは誤解によるのもが多いのです。

案外、個人レベルでコミュニケーションを増やすだけで上手くいったりします。

さいごに

リスク管理は療法士にとってとても大事なものです。

療法士の過失が大きければ訴訟になることもあります。

私の周りでは、それが原因で鬱になって働けなくなった人や命を落とそうとした人もいました。

 

知識や技術を高めることが自分の身を守ることにもつながりますので、リスク管理についてはしっかり勉強しましょう。

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