こんにちは!みのりです。
理学療法士が訓練を行う上で大切なものがあります。
これがトレーニングの3原理とトレーニングの5原則です。
理学療法などのトレーニングを行う人なら誰でも知っているような基礎的なことですが、訓練内容がマンネリになりこれを守れていない理学療法士が割といるんです。
最近、私の勤めている訪問看護ステーションで利用者さんからこんなクレームがありました。
ベテラン理学療法士が受けたクレーム
利用者さんの疾患はパーキンソン病。年齢は60歳代。
ベテラン理学療法士が1年ほど1人で担当していました。その介入中は何のクレームもなく利用者さんとの関係は良好でした。
その利用者さんがパーキンソン病の治療薬の調整のために、ある日入院しました。
そして、退院し訪問看護のリハビリを開始しようとする際に、担当理学療法士を変えてほしいと連絡があったんです。
利用者さんに理由を聞くと、病院でリハビリをするときに訪看のリハビリで訓練している内容を伝えたら、病院の理学療法士にダメ出しをされ「その理学療法士(訪看の)は全然勉強していない。もっと負荷の高いことをしないと良くならない。」と言われたそうです。
まあ、パーキンソン病の利用者さんに運動で良くなる話をするとか、利用者さんにそんなネガティブな情報を入れる理学療法士もどうかと思いますが、訪看の理学療法士が訓練内容をしっかりと考えられていないのは明らかでした。
訪看の理学療法は利用者さんが腰の痛みを訴えていたので腰部のリラクゼーションを施行。あとはキッキングなどの筋力訓練、歩行訓練(普段は屋内独歩自立レベル)を施行していました。
私から見ても負荷が弱すぎなんですよね。
また、この利用者さんは年齢も若いですしやる気満々な人なのでもっと高度なことはできたと思います。
利用者さんは入院するまで1人の理学療法士としか関わったことがなかったので不満はなかったのですが、他の理学療法士と出会って、今までのリハビリは何だったんだと思ったのでしょう。
なんかわかる気がします。
この担当理学療法士は、まさにトレーニングの3原理と5原則を全然守れていなかったんですね。知識としてはもちろんあると思いますが、マンネリ化していたんだと思います。
トレーニングの3原理とは
- 過負荷の原理
負荷を大きくしないと訓練の効果は十分得られないということ。 - 可逆性の原理
訓練を止めてしまうと機能は元に戻ってしまうということ。 - 特異性の原理
訓練の種類によって鍛えられる機能が変わるということ。
例えば、下肢の筋力訓練を頑張ると下肢の筋力は向上しますが、短距離走のタイムが縮むとは限らない。
特に結果を出せていない理学療法士に多いのは、この過負荷の原理を守れていない人です。
高齢者だから、患者さんがしんどいというからといった理由で負荷をかけることができず、マッサージと弱い筋トレばかりしています。
これでは負荷が弱すぎて身体機能を高めることは期待できません。
トレーニングの5原則
- 漸進性の原則
一定期間訓練を続け体力が一定の水準に達してしまうと同じ負荷では効果がみられなくなるということ。 - 全面性の原則
バランスよく鍛えないとケガをしたり良いパフォーマンスができないということ。 - 意識性の原則
鍛えている部位を意識することで訓練効果が増すということ。 - 個別性の原則
体力などは個人差があるので、その人によって負荷を調節する必要があるということ。 - 継続性・反復性の原則
効果を得るには繰り返し行う必要があるということ。
結果を出せていない理学療法士はこの漸進性の原則が守れていません。何ヵ月も、下手したら何年も同じ訓練内容にしてしまっているパターンです。
これは、私の先入観が入っていますが、クレームが多いベテランのスタッフに多いです。
さいごに
今回のクレームは、クレームというより利用者さんの正しい意見ですね。
明らかに担当理学療法士に非があります。
訓練内容も悪いですが、利用者さんと思っていることを言い合える関係を作れていないことが問題です。
例え利用者さんが今までの訓練内容が自分に合わないと感じても、こういうようにしてほしいと気軽に言える関係であったら担当を変えるというようにはならなかったでしょう。