こんにちは!みのりです。
訪問看護のリハビリでわりと需要があるのが呼吸リハビリテーションです。
その為、三学会合同呼吸療法認定士の資格を取ろうとする理学療法士が少なくありません。
私はもっていませんが・・・
呼吸器の患者さんは息切れに関することで悩みを持っておられます。
息が苦しければ動かない。動かなければ体力や筋力が落ちたり食欲不振となり負のループに陥ります。
その負のループを断ち切る!または予防するために必要なのがリハビリです。
というわけで今回は呼吸リハビリについて書いてみました。
Contents
呼吸リハビリテーションとは?
病気や外傷によって呼吸器に障害が生じた患者さんに対して、可能な限り機能を回復し、あるいは維持することによって症状を改善し、患者さん自身が自立した日常や社会生活を送れるように継続的に支援する医療です。
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
問題が呼吸であろうがなかろうが、リハビリというものは社会復帰を目指すことが基本になります。
呼吸リハビリの対象疾患は?
症状 | コンディショニング | 全身持久力トレーニング | 筋力トレーニング | ADLトレーニング |
COPD | ++ | +++ | +++ | ++ |
気管支喘息 | + | +++ | + | |
気管支拡張症 | ++ | ++ | ++ | + |
肺結核後遺症 | ++ | ++ | ++ | ++ |
神経筋疾患 | ++ | + | ||
間質性肺炎 | ++ | ++ | + | ++ |
術前・術後 | +++ | +++ | ++ | + |
気管切開下 | + | + | + | + |
+は適応が考慮されている、++適応、+++適応であり有用を示すエビデンスが示されている
空欄 現段階では評価できず
COPDには効果的ということがわかります。また、コンディショニングはどの疾患に対しても相性が良い訓練ですね。静的な訓練なので患者さんへの負担は少なくすみます。
COPDってどんな病気?
COPD=慢性閉塞性肺疾患
慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。
日本人の40歳以上のCOPD患者は530万人(有病率8.6%)といわれています。
具体的にどういうものかというと、息を吐くときに抵抗がかかって空気がなかなか出ていかなくなるんです。その為、吐き残した空気がたまって胸郭が拡大している状態となっています。
イメージとしてはCOPDになると空気をいっぱい吸って肺が膨らんだ状態で、呼吸をする感じです。肺が膨らんだ状態で息を吸っても不十分ですよね。その感じです。
COPDの治療方法は?
COPDは肺胞が壊れたり気管支に炎症を起こし肺機能を低下させます。肺の破壊された部分が元に戻せません。その為、進行を抑制したり症状を緩和することが治療目的となります。
禁煙、薬物療法、呼吸リハビリテーション、在宅酸素療法、栄養管理などが治療方法となります。
禁煙
ある研究ではCOPD患者の90%に喫煙歴があることがわかりました。
また喫煙者のうち7人に1人がCOPDであったという報告があります。
このことから、禁煙をすることで呼吸機能の低下を抑えることができるということがわかります。
薬物療法
気管支拡張薬が投薬の中心となります。
増悪を繰り返す場合は吸入ステロイド薬を用いることもあります。
痰を出しやすくする喀痰調整薬や感染症を防ぐ抗生物質が処方されます
在宅酸素療法
在宅酸素療法はHOTとも呼ばれ室内空気より高い濃度の酸素を自宅で投与することをいいます。
効果としては
- 息切れが軽減し歩行距離の延長や行動範囲の拡大が可能
- 肺や心臓への負担を軽減し、心不全への進行を防ぐ
- 寿命の延長
- 生活の質向上
があります。
栄養管理
COPD患者の7割が体重減少するといわれています。
栄養不足となると運動をしても筋力がつきません、それどころか筋肉が落ちてさらに息苦しくなったりします。
その為、栄養管理は必須です。
呼吸リハビリテーション
呼吸リハビリテーションといってもやることは多いんです。
どうやって息切れの症状を緩和するのかというと
- 呼吸の方法を工夫する
- 息切れをする動作のコツを知る
- コンディショニングを整える
- 運動療法をする
といったアプローチをします。
呼吸困難の程度をはかるものととしてMRC息切れのスケールというものがあります。
Grade 1以上が呼吸リハビリテーションの適応となります。
呼吸リハビリテーションの具体例
呼吸の方法を工夫する
口すぼめ呼吸が効果的です。
COPDは息を十分吐ききれない状態にあるので口をすぼめることで気道内圧を上げることで気道を広げ息を吐きやすくします。
吐くときは吸うときの2倍くらいの時間をかけるように意識します。
また、腹式呼吸の効果的です。
腹式呼吸は横隔膜が大きく動きます。横隔膜は1.5㎝下に動くだけで約400mlの空気を取り込むことができます。この400mlというのは安静時換気量の約8割にあたります。
というわけで腹式呼吸をすることで空気を多く取りいれることができ酸素の消費量は少なくすむので効率良い呼吸が可能となるのです。
息切れする動作のコツを知る
息切れをする動作はどのようなものがあるのかというと、
腕を上げる動作、息を止める動作、腹部を圧迫する動作、反復する動作があります。
腕を上げる日常生活動作で代表的なものは上衣更衣です。かぶりシャツなんかは最悪です。
息を止める動作は洗顔や排便、発話、重いものを持ち上げるなどがあります。
腹部を圧迫する動作は靴下や靴を履く、座位でのズボンの着脱、下のものを拾うなどです。
反復する動作は体を洗う、掃除機をかける、拭き掃除などです。
こういった負担のかかる動作は日常生活上にあふれています。
少しでも負担を軽減するには
- 息を吐くときに動く
- 途中で休憩を入れる
- 動作方法を変える
- 環境を変える
ということが必要です。
「無理なことはしない」「ヘルパーさんに手伝ってもらう」ということがポイントです。
コンディションニングを整える
これは呼吸筋のリラクゼーションや胸郭可動域練習、排痰法、呼吸練習などです。
細かい訓練方法を説明するとかなりのボリュームとなるため今回は割愛します。
ただ、呼吸介助や棒体操による胸郭の運動はかなり効果的です。
運動療法をする
全身持久力トレーニングとしては歩行がおすすめです。
長距離の歩行訓練を行うことで最大酸素摂取量の増大、呼吸困難感の減少が期待できます。
四肢の筋力トレーニングも効果的なのですがCOPDの場合は呼吸に合わせて運動を行うことがポイントです。すぐに息切れしますからね。
パニックコントロール
COPDの患者は呼吸困難感があることからパニックに陥ることが多々あります。パニックになると息苦しさは増悪するので楽な姿勢をとり気持ちを落ち着かせることが重要です。
例えば、座位・立位姿勢では両手を太ももや膝の上に置き、前かがみ姿勢になります。落ち着いて、息を吐きだし口すぼめ呼吸で整えるといった方法があります。
また、臥位ではファーラー位やシムス位が効果的です。
まとめ
呼吸器の患者は息切れの軽減を第一に望んでいます。
また、呼吸リハビリテーションはエビデンスが高く有効な治療法の1つです。
早期から治療を行うことで症状を和らげたり病気の進行を抑制することが可能です。